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”めかとろ通信 第35号” <自己保持型ソレノイド>

当社のラインナップに「自己保持型ソレノイド」という製品があります。ソレノイドメーカ各社からも同様の機能を持つものが供給されています。名称は、自己保持ソレノイド、キープソレノイド、ラッチングソレノイド、などと様々ですが、基本的に機能は同じです。無電源で保持力を発生するユニークなものですが、使いこなしにはいくつかの注意が必要です。今回はこの形式を一般のソレノイドと比較しながら説明してみたいと思います。

1.自己保持型ソレノイドとは

通常のソレノイドでは、可動鉄芯を吸引された状態に保つためには、電流を流し続ける必要があります。自己保持型ソレノイドでは内部に永久磁石を組み込むことにより、電流が流れていないときでも、この永久磁石の磁力によって可動鉄芯を吸引状態に保つことができます。電流を流し続ける必要がないため、コイルの発熱を抑え、電力の消費量を低減することが可能となります。形式には大きく2種類があり、一般型と同じように動作する1コイル型と双方向に駆動が可能な2コイル型があります。

1.1.  1コイル型
1コイル型はコイルに通電すると、吸着動作し通電を解除してもその位置を保持し続けます。復帰時にはコイルに消磁電流を流すことで保持力を消滅させて復帰します。このとき、復帰方向への力が生じることはありませんので、復帰ばねが必要です。
通常型の直動型ソレノイドと同じように、復帰方向のストッパがありませんので、負荷側にストッパを設けてください。

1.2.  2コイル型
2コイル型は、コイルを2つもち、通電した側に動作し、通電を解除してもその位置を保持します。反対側に通電するとそのコイル側に動作します。したがって、コイルヘの通電は動作終了までの短時間でよく、電力は少なくて済みます。また、一般ソレノイドと異なり、復帰のためのばねは必要ありません。注意が必要なのは、2コイル型ではストロークがあらかじめ決められていて、この範囲で使用する必要があることです。負荷により、この動作範囲が制限されると、本来の性能が発揮できませんので使用するうえで注意が必要です。

2.磁極の構成

自己保持型は、標準のプッシュ・プルソレノイドのコニカル型と少々異なる磁極断面形状となっています。保持佗置で有効に保持力を発生するためには、固定磁極と可動磁極を接触させる必要があります。そしてその面は動作方向に垂直の時に最も大きくなります。平坦な面を用意して接触させることになります。標準のコニカル型にはこのような面がありません。傾斜面だけで構成されています。ストロークを大きく取るにはこのような形が好ましいのです。自己保持型はコニカルの円周部に平坦な面を設ける形とし、コニカル角度をストロークを有効に得られるところからずらしています。このような事情でストロークは一般型よりも伸ばしにくく、短めです。保持力を大きくするには、フラット面を広くすることが有効です。標準のプッシュプル型のフラット型と同じです。ただし、プソシュプルのフラット型と異なるのは磁極のギャップを接触させる必要があることです。標準型同様、ストロークは大きく取ることが得意ではありません。ただし、大きな保持力を発生します。保持力を得るには保持佑置で可能な限り磁極間のギャップを小さくする必要があります。接触させた時が最も大きくなります。標準プッシュ・プルのフラット型では最終位置で磁極間に接触を防ぐためのギャップワッシャを挿入します。これにはいくつかの理由があリます。一つ目は、復帰時に通電を解除しても戻らなくなることがあります。これは通電後の磁極には磁束が残留し、これが吸着力を生じさせて、復帰不良となること
があります。この現象を永久磁石の補助を得て大きな吸着力を得ているのが自己保持型ということになります。もう一つは、動作音の問題です。吸着時に磁極どうしの接触を伴うと極めて大きな騒音を発します。このため、標準プッシュ・プルでは、消音効果のあるワッシャを用いて接触を避けながら騒音を下げることが出来ます。ただし、最終点での吸着力はギャップの分だけ低下しますので、保持型ではこのような方法を取ることができません。したがって、動作時の騒音は自己保持型の欠点として残ります。磁極を接触させた際の保持力は、そこに加えられている磁束をキャンセルするような方向に外部磁界を加えます。これはコイルに吸着時と逆方向の電流を加えることで発生することが出来ます。このとき、磁極に生じていた吸着力は消滅します。ただし、復帰方向に逆方向の力が発生するわけではありませんので、復帰のためには一般型と同じように復帰ばねが必要です。このときに流す消磁電流は復帰動作が開始されれば不要になるので、極めて短時間の通電でよく、消費電力は小さなものです。これは1コイル型の場合ですが、2コイル型の場合には、反転側のコイルに通電し、保持側の保持力を上回る吸引力を発生させれば反転動作が可能です。当社カタログにはその方法が記載されています。双方向の駆動が可能なので復帰ばねは必要ありません。

3.駆動方法

3.1.  1コイル型
動作時にはコイルに通電します。コイルには極性がありますので注意してください。通電後、吸着位置まで動作した後は永久磁石でその位置を保持しますので、コイルヘの通電は不要となります。速やかに通電を遮断します。復帰させるには、永久磁石による保持力を消滅させる必要があります。このためには、永久磁石による磁束の方向と逆の方向に磁界を発生させます。コイルに動作時と逆極性の通電を行うことで、この磁界が生じ、吸着力を生じている磁束がキャンセルされます。この状態で保持力がなくなりますが、復帰させるには、一般型と同様に復帰ばねが必要です。ここで一つ注意が必要です。永久磁石の磁力は一定です。このため、コイルからこれをキャンセルさせるための強さはこれと逆極性で絶対値が等しい必要があります。弱いと永久磁石の磁力が残り、強いとコイルからの磁カで吸着力は消滅しないことになります。このため、カタログに記載された電流値に従う必要があります。この電流は、吸引時の電流よりも小さいのが一般的で、このために抵抗器を直列に挿入して必要な電流を得ることになります。

3.2.  2コイル型
この型式は動作方向別に独立したコイルがありますので、駆動したい側のコイルに通電するだけです。ただし、一般のソレノイドと異なり、コイルには極性がありますのでご注意ください。1コイル型と同じように保持は永久磁石で行われます。駆動は保持側と反対側のコイルに通電し、その吸引力で保持の解除と吸着が行われます。この時、保持側にキャンセル電流を流せば、その分駆動力は上昇することになります。二つのコイルを使用することになりますので、配線は各二本で四本必要となります。ただし、ダイオードを付加することで、通電極性を切り替えることで方向を変えることが可能な二線式とすることもできます。

3.3  サージ対策
ソレノイドに通電するにあたり、逆起電力対策が必要です。これは駆動スイッチやスイッチング素子を保護するためのもので、一般的にはフライホイルダイオードを挿入する方法がとられます。ただし、保持型ソレノイドの場合には逆極性の通電が必要なため、この方法が使えません。したがって、バリスタを使うのが簡単確実です。

3.4  通電可能電圧
標準ソレノイドにおいては、通電率という単位で、コイルへの通電電力を定めています。短時間であれば大きな電力を印加することで大きな力を得られるという考え方です。これはこの自己保持型においても変わりません。ただし、通電率25%を標準値として定めています。自己保持型は基本的に短時間の通竃しか行わないという考え方に基づいています。このため、カタログにある吸引力特性の25%をご覧いただき、駆動能力をご判断ください。

4.解放電流設定抵抗

1コイル型では、復帰のために解放電流を流す必要があります。この値はカタログに指示があります。カタログに記載された値は基準値であり、負荷状況によって若干の変動があります。ただ、厳密にこの値でなければ動作しないというものではなく、保持力が復帰用に設置したバネの値を下回ればいいので、若干の変動は問題ありません。ただし、カタログに記載された電流値が得られるような抵抗値を計算すると、半端な値になり入手に困ることがあります。これを入手の容易な値の抵抗器を用いて2本での合成抵抗として算出し、その他のパラメータと合わせて一覧表にしました(次ページ)。抵抗は最も入手性の良いE12系列から選び、2本の並列接続として計算しています。ご活用ください。

6.終わりに

今回は、当社のソレノイドの中でも使い方の変わったものを取り上げてみました。お客様目線でカタログを見直してみるといくつかの分かりにくい点、不親切な部分が見えてきました。そこで、最終ページの表を作って見た次第です。1コイル型だけですが、使用するのに必要なパラメータが一覧できるのではないかと思っています。次回は2コイル型の一覧表と、今回触れることができなかった応用例について計画しています。